オチなし

原田宗典の作品のエッセイと小説における雰囲気の違いには驚かされる。「十九、二十」と「17歳だった!」などを連続で読むとそれは一目瞭然であり、賑やかで和やかな匂いを醸し出すエッセイに対し、小説の方は冷たくて乾いている。エッセイからのギャップもあるけれど、「平成トム・ソーヤー」なんかはそれが顕著で、淡泊な雰囲気が漂う。主人公にスリのコツを教えるラブホ経営者の老婆などは、作者の作品の登場人物の中でも一級品だと思う。…うーん、おもしろおかしいエッセイと病的(彼の友人に言わせれば)なまでの小説を両方書く作者の内心はどんなものなのだろうなあ。いや、どっちの作風も好きだけど!