宮部みゆきのパーフェクト・ブルー読んだ

探偵事務所で買われている犬の一人称と、
ある会社での三人称視点の二つで展開されてて、
犬は元有能な警察犬で野球好きで、キャラは一番立ってたと思う。
犬であるために会話にも絡めず、カメラマンの役割に徹して読者に状況を伝えてくれる(勿論彼自身の感想なども含まれているのだが)。
対して三人称の方は、事件に巻き込まれたサラリーマンが苦悩している姿を描いている。


ドーピング問題を扱っているのにはちょっと驚いた。
というよりも、スポーツにこんな裏側があるのか?と
疑ってかかりたくなってしまった。検査をパスするための専門家の存在とか。しかし近年のオリンピック出場者を見ていると、こういった一面も存在しないわけではないみたい。自分が神聖視しているスポーツマン像が崩壊していきそうでいやだ。


また処女作ということで、登場人物があまり掘り下げられていなかった。なので終盤で突然過去について語りだし、女に手を差し伸べるサラリーマンなどに違和感を感じた。後は、高校野球の裏側の工作。
全てが明るみになった後、一人部員を連れてきておいて「こいつは何も知らないんです」とか抜かす男。「何も知らない部員に罪は無いから」と、あっさり彼らを解放してしまう探偵達。すでに工作は終わっていて、今更それを公に晒したことであまり意味はないのかもしれないが、なんらかの責任を取らせるべきだったのではないか。


そして犯人の動機。事件の原因のあくまでも一部、それも犠牲者の一人である男が、逆恨みによって殺されている。しかも犯人はそれを「小気味よかった」と語り、無責任な言葉を置いていく。狂気の沙汰である。