ワイルド・バンチ完全版 感想

しょっぱなから展開する、強盗とそれを追う賞金稼ぎの一団のドンパチ。
ところが賞金稼ぎはどさくさに民間人を射殺して死体を漁るなどハゲタカとハイエナの両方を極めてるやつらなのである。OPのアリとサソリもあいまって、この映画に善悪とか殺人の倫理観を問うてはいけないという印象を埋め込まれた。


さて、これ西部劇なわけなんだけれど、どちらかというと日本人受けする内容になっている。だってこれ「仁義」+「滅びの美学」という、もう新撰組などのブームを見れば火を見るより明らかにグーな組み合わせだしね。

全ては新入りのエンジェルから始まる。
ただの窃盗団だったメンバーに対し、ヤツは一応考えというか貫き通したい部分を持っているワケ。でも背負うものが大きいわりに直情的で、チームに与える負担も大きい。しかし彼がこの映画の重要な要素を担っていることは間違いない。正直見せ場もないしカッコイイとはいえないけど。


泥くせえ雰囲気が完璧すぎてたまらない映画だった。
特にクライマックス、売春宿のあと会話も少なめに「死の行進」をするシーンが好きだ。コトが始まったあとの彼らの意思疎通も良い。ちょっと長いけどオススメの映画です。人殺しなんてサイテー!という人は観ないほうがいいと思います。まーそんな人が西部劇なんか見るわけないだろうけどね。