スカーフェイス 感想

この映画が公開当時は失敗作と言われていただって!?(愕然)
まあ確かに少々退屈なシーンもあるのだけれど、アル・パチーノの演じるトニー・モンタナが画面に入ってくる瞬間、彼の放つギラギラとしたオーラがどんな退屈なシーンだろうと迫力あるものに変えてしまう。彼はどこまでも正直で、裏切りを許さない男だが、行き着くところまで行き着くと、堕落し、破滅へと向かうことになるのであったとさ。

ヒロイン役のエルビラことミシェル・ファイファーは超美人。クール系のお姉さんかっこいいっす。キャラの扱いはあっさりとしたものだったが。


前半で神がかったトニーを見たからこそ、後半を見るのは辛い。金に溺れた彼は全てに当たり散らす、愛した女を罵倒し親友を顎で使って文句を言う、政治も嫌いなものだから別のボスとの会合もくだらんと吐き捨てる。


それでも彼は自分の人間性が汚い、いやしいものであることをはっきりと自覚していて、それらの要素をせめて妹であるジーナに補ってもらおうとしている。それにクズなりの矜持として、抗争している相手でも、その女房や子どもは絶対に殺そうとしない。
しかし彼はキレてしまった。自ら絶対に壊してはいけないものを粉々に打ち砕いたのだ。


ラストシーンで異常な生命力を見せる彼の姿は、マフィアのボスとしての最後の意地であると共に、破滅的で、切ない。