春季限定いちごタルト事件 感想

この作者の書く日常系ミステリが面白くて仕方がないです。
人間が殺されたりして、極限状態の中で現れるものではなく、
日常生活の中で、ふっと浮かぶ”悪意”を描くのが上手いと思いました。
「三つの君へ六つの謎を」のオチのような。


この本では、主人公の小鳩くんと小佐内さんの「立派な小市民生活を送っていこう」という”互恵関係”がほころぶ瞬間からミステリが始まる。


彼らは自分の性格を疎ましく思い、つとめてそれを抑えながら生活していこうとするのだけれど、どうにも溢れてしまう瞬間はあったりするのですね。


ただ、表題作のようにエピソードをまたがってやるほどの事件はいらなかったと思った。それがちょっと残念だったけれど、とても面白かった。・・・あの解説までは、レビューしません(苦笑)。