Yes is the answer

有給でジョン・レノンミュージアムに行ってきた。
くそあつい日差しの中、汗臭くなったシャツに顔をしかめながら電車で揺られている時、初めて夏を感じた気がした。昔から海やプールに行ってそこで泳ぐ時よりも、帰りの電車の中で心地よい疲労感につつまれている時の方にもののあわれを感じる男なのである。何故かは分からない。


とにかく俺は閉館間際のジョン・レノンミュージアムに行き、一つ一つのフロアを丹念に回った。ジョンの最期はどのようにして語られるのかと少し怖かったが、それはファイナルルームの手前の通路の壁に白い文字で日付が書いてある程度の扱いだった。つまり、重要なのはジョンが死んでもその業績や思想は人々の心に残り続けることだというわけである。俺はファイナル・ルームに記されたメッセージを15分ほど眺めた。最初、全てのメッセージをノートに記そうかと思ったが、やめておいた。ショップに寄り、シャツとタオルを買い、エスプレッソを飲みながらビートルズのTV出演や、ジョンとヨーコのイヤー・オブ・ピースを鑑賞して帰宅した。

ビートルズが音楽界に与えた多大な影響や、その偉大さは知っていても、大したファンでもなかった俺が、「もうすぐ閉館するから一度は行っておいた方が良い」という父の言葉をきっかけにして訪れるというのは、TVで有名人の訃報が伝えられるやいなや全く興味も関心もなかった人々が冥福を祈りだす、あの流れを思い出して少し自嘲もしたが、とにかく行って良かったと思う。俺は恐らくイギリスで最も偉大なアーティストの歴史を辿るチャンスをぎりぎりで行使できたのだ。


ジョン・レノンミュージアムは埼玉の新都心にある。
9/30いっぱいで閉館してしまうので、みなさんも是非いまのうちに訪れておくことをおすすめする。